再配達率が下がらない!? 国と宅配業界挙げてPR「受取は1回で!」
こんにちは、ロジネクトです。
国土交通省は2023年3月14日、宅配便の再配達削減を目指して、2023年4月を「再配達率削減PR月間」として、宅配業者や通販業者とともにPRをしていくことを発表しました。
私たち宅配ドライバーにとって切実な再配達の削減。国としても業界を巻き込んで取り組もうとしているということですので、詳細をみていきましょう。
最新の再配達率は11.8%
国交省では、これまでも毎年4月と10月の年2回、再配達率のサンプル調査をしてきました。調査は都市部、都市近郊部、地方の3つのエリアで、佐川急便、日本郵政、ヤマト運輸の大手3社の約260万件の配達実績を対象としています。
その結果は下表のとおりです。
出典:国土交通省発表資料 https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000645.html
単身者が多い都市部ほど再配達率は高い傾向にあります。
地方は徐々に再配達率が減少していますが、都市近郊部は横ばい、都市部は再配達率が増加傾向にあります。
皆さんの配達コースの再配達率ではいかがでしょうか。あくまで大手3社の様々なエリアの合計ですので、もっと再配達率が高いというドライバーさんも多いでしょうし、反対にもっと再発率の低いドライバーさんもいるかもしれませんね。
目標は2025年までに7.5%
この調査を少しさかのぼってみてみましょう。
出典:国土交通省発表資料 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001575258.pdf
国交省ホームページで公表されている資料で一番古いのが2017年10月調査です。
この時の総計の再配達率は15.5%。今よりも高かったです。大きな変化が起きたのは2020年4月調査。コロナ禍初の緊急事態宣言の時期であり、不要不急の外出自粛が呼びかけられて在宅率が高かったため、再配達率は8.5%に下がりました。
しかし、それ以降の調査では再び再配達率が11%を超えました。コロナ禍での在宅勤務の広がりや非対面での受け渡しの広がりなどもあり、コロナ禍前よりは低い水準とはなりましたが、依然課題として残りました。
そして、2021年6月には「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」が閣議決定され、2025 年度 には7.5%程度まで削減するとの目標が掲げられました。2021年から2025年までの5年間の計画であり、今年はちょうど中間地点になります。しかし、2022年10月の調査結果が示す通り、順調に削減が進んでいるとは言い難い状況です。
さらに、2024年4月から働き方改革関連法による時間外労働の上限規制がトラックドライバーにも適用され、現状のままでの運び方が難しくなる、いわゆる「物流2024年問題」が目前に迫ってきました。
今回、国交省が打ち出した「再配達率削減PR月間」の背景には、このような事情があるのです。
今回の取り組み
では、今回のPR月間では具体的にどんなことをするのでしょうか。
国交省は以下のように発表しています。
出典:国土交通省発表資料 https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000667.html
〇国土交通省・経済産業省の取組
・SNSによる広報
・参加事業者のリスト取組内容を国土交通省のHPに掲載
・政府広報テレビ番組での紹介
○宅配便・EC(eコマース)・通販事業者の取組(例)
・自社のHPやSNSを通じ、国民に対し再配達削減を呼びかけ
※呼びかける内容
・時間帯指定の活用
・各事業者の提供しているコミュニケーション・ツール等(メール・アプリ等)の活用
・コンビニ受取や駅の宅配ロッカー、置き配など、多様な受取方法の活用
・発送時に送付先の在宅時間を確認
・自社HPに国土交通省・経済産業省が提供するバナーを掲載
すでに現場では推進されていていることも多々ありますが、これを政府や業界をあげてより一層PRしていく、ということのようです。
早速、先日もテレビの全国放送の情報番組でこの話題が取り上げられておりました。一般の方にも認知は広がっているとは思います。
まとめ
このような情報発信により、一般のお客様の意識に呼びかけることは大切であると思います。宅配業界にとっていかに切実な問題か。また、再配達が削減できずに物流に負荷をかけることが巡り巡って多くの人々の日常に影響を与えてしまう可能性があるか、様々な媒体や手法を通じて理解を促し、受取人となるお客様の側に対して、協力を促していくべきでしょう。
ただし、それだけですべてが解決するほど簡単ではないのが現実です。
ましてや新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行により、様々な社会活動が再開され、通勤や外出などの人の動きも活発になり始めており、在宅率は下がる傾向にはあると思います。
初回の配達でいかにお渡しできるか。在宅率の向上という受取人の行動に左右されるものにのみ依存せず、宅配ロッカーや置き配の普及は避けては通れないでしょう。特に置き配に関しては受取人だけでなく、出荷人の理解も必要となってきます。
再配達率削減の動きは、国も目標を掲げ、運送業界、通販業界にも呼び掛けて取り組みをしています。この動きを引き続き注視していきたいと思います。
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