個人事業主が社会保険に加入して保険料を抑える方法
こんにちは、ロジネクトです。個人事業主として軽貨物ドライバーで働く場合、通常は「国民健康保険」に加入することになりますが、社会保険(健康保険)と比べて「保険料が高い」などデメリットを感じる方もいるでしょう。
そこで「個人事業主の軽貨物ドライバーが社会保険に加入する方法」について、考えてみたいと思います。
1.国民健康保険は社会保険より高くつく?
会社員などが加入する「社会保険(健康保険)」と、個人事業主などが加入する「国民健康保険」の違いを簡単にまとめると以下のようになります。
▼社会保険(健康保険)
運営:全国健康保険協会(協会けんぽ)、健康保険組合
保険料:給与額に応じて決まる「標準報酬月額」にもとづいた保険料を労使折半
扶養の制度:あり
給付条件:労災に該当しない病気やケガなど(労災は労災保険を適用)
医療費の自己負担:3割
傷病手当金:あり
▼国民健康保険
運営:市区町村
保険料:前年の所得に応じて世帯単位で算出し、全額本人負担
扶養の制度:なし(世帯全員分保険料が発生)
給付条件:病気やケガなど(個人事業主の業務上の病気やケガを含む)
医療費の自己負担:3割
傷病手当金:なし
社会保険ように労使折半で保険料を負担するという仕組みはなく、国民健康保険の保険料は全額自己負担です。また、扶養という概念はなく、家族であっても1人ずつ加入することになり、保険料も個別に計算されます。このため、家族が多いと負担が大きくなります。社会保険傷病手当金の制度もないため、社会保険と比べると保障が手厚くないと感じるかもしれません。
このため、社会保険に加入して保険料を安くしたいと考える個人事業主は少なからずいらっしゃいますが、実際に保険料を抑える方法はあるのでしょうか。
2.家族の社会保険の扶養になる
一つの方法として、家族の社会保険の扶養に入るという方法があります。
夫婦と子どもがいる家庭の場合、委託ドライバー本人は個人事業主として国民健康保険に加入したとしても、配偶者が会社員(パート等含む)で社会保険(健康保険)に加入していれば、子どもは配偶者の扶養家族にすることで、世帯全体の保険料を抑えることは可能になります(被扶養者が何人いても保険料は変わらず、被保険者分の費用だけで済みます)。
個人事業主本人が配偶者の扶養に入ることも可能ですが、所得税と社会保険いずれにおいても、所得上限などの要件を満たしている必要があります。所得税に関しては配偶者控除を受けられるのは年間所得48万円以下。社会保険に関しては被扶養者の年間収入が130万円未満などの条件があります。
軽貨物でバリバリ稼いでいるドライバーの場合、いずれも現実的ではないですよね。
3.フリーランス向けの健康保険組合を利用する
では、個人事業主本人が社会保険に加入する方法はあるのでしょうか。
「フリーランス 社会保険」等のワードで検索すると、個人事業主が加入できる健康保険組合がいくつかヒットします。
この記事を執筆している2024年6月時点では「みん社保」「一般社団法人全国個人事業主支援協会」「社保の窓口」など、様々なサービスが出てきます。いずれも、個人事業主の方々が加入できる仕組みとなっており、国民健康保険よりも保険料を抑えることができることがアピールされています。
なお、これらの組合の保険の詳細については、直接各組合にお問合せいただき、ご確認ください。
4.法人化して社会保険に加入する
ご自身が社長となって、ほかにもドライバーや従業員を雇用して事業を拡大していくのであれば、法人化を検討することになるでしょう。法人となれば社会保険の加入事業所として、社長本人も社会保険に加入できるようになります。
個人事業主のままでも常時5名以上の従業員を使用している場合は、社会保険に加入することになります。
なお、従業員がいないまま社長一人でも法人化して社会保険に加入することは可能です。その場合、社会保険に加入することで得られるメリットは享受できます。(なお、代表者は雇用保険に加入することはできません。)
また、法人化で得られるメリットは他にもあります。
例えば税負担の面では、所得金額が大きくなって所得税額が大きくなった場合は、法人化して法人税にしたほうが税負担を抑えられる場合があります。個人事業主より法人の方が、社会的信用を得やすいという点もあります。
一方で、会社設立のためには登録免許税や定款認証手数料などの費用が必要になります。資本金も1円から会社設立は可能ですが、取引先や金融機関からの信用を考えると、ある程度まとまった資本金があったほうが良いでしょう。法人税申告書や決算書が義務付けられるため、事務作業のための時間とコストも発生します。
ですので、法人化については、社会保険の保険料だけでなく、総合的なメリット、デメリットから判断することが必要でしょう。
5.社会保険の任意継続制度を使う
会社員を辞めてすぐに個人事業主になる方であれば「社会保険の任意保継続制度」というものもあります。
これは、退職前に2か月以上健康保険に加入していた方は、退職後も勤務先の健康保険に2年間継続加入できる制度です。
会社と折半だった健康保険が全額自己負担になりますが、それでも国民健康保険より安く抑えられる場合があります。また、家族の扶養も継続ができます。
ただし、この制度は最大で2年間しか使えません。また、個人事業主になって所得額が減少した場合は、国民健康保険の方が安くなる場合もありますので、どちらが安くなるかはよく確認をしたほうが良いでしょう。
6.まとめ
多くの個人事業主さんは国民健康保険に加入していらっしゃると思いますが、様々な制度やサービスを活用することで、社会保険に加入して保険料を抑える方法はあります。
ただし、所得金額や家族構成などによってメリット・デメリットは変わってきますし、色々な条件や注意点もありますので、詳しくはお近くの社会保険労務士などの専門家や、年金事務所などにご確認ください。
* * *
ロジネクトは金沢エリアで長年の経験と実績を積んでおります。
また、全国規模の軽貨物事業フランチャイズグループに加盟しており、幅広いネットワークのなかで情報交換する中から、円滑で高品質なサービスご提供のための様々なノウハウを蓄積しております。
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