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軽貨物の保険あれこれ|任意保険の特約はどこまで必要? 労災は加入できる?

こんにちは、ロジネクトです。
個人事業主の軽貨物ドライバーが業務を実施するうえで、加入する必要がある保険、または加入しておいた方が良い保険について、考えてみます。

1.軽貨物に関わる保険

軽貨物ドライバーが業務を行う上で加入する必要がある、または入っていた方が良い保険は次の3つです。
・自賠責保険(必須)
・任意保険(ほぼ必須)
・貨物保険(ほぼ必須)

また、労災保険は、個人事業主の場合、入っていない方も多いかもしれませんが、特別加入制度を使って加入することを検討してみても良いものでもあります。

なお、国民健康保険と社会保険については以下の記事をご参照ください。
委託ドライバー開業時に必須!国民健康保険の加入方法(2023年1月31日)
個人事業主が社会保険に加入して保険料を抑える方法(2024年6月27日)

2.自賠責保険 未加入車の使用は即免停

自賠責保険は、自動車1台ごとに加入が法律で義務付けられています。自賠責保険は、相手の死亡、後遺障害、傷害に対して補償するものです。相手の自動車の破損や自分のケガ、自分の車の破損などは補償の対象外です。
なお、未加入車の使用は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。交通違反点数も6点、免許停止処分となってしまいますので、ドライバーの仕事をする上では致命的なものとなります。
一般的には、車検証の有効期間とほぼ重複しており、車検証更新の際に自賠責の更新手続きも業者さんが行うので、あまり意識していない人もいるかもしれませんが、軽貨物事業を始めるときは念のために確認しましょう。

3.任意保険 補償内容と保険料のバランスを見て調整

任意保険は、車の使用者が自分の意思で加入するものです。基本補償のほかに、基本補償に付帯する特約、オプションとして選べる特約で構成され、保険会社によって補償内容や保険料は変わります。
オプションで特約をつけて補償を手厚くしたり、反対に補償を限定して保険料を抑えたりすることが可能です。

軽貨物ドライバーが業務を行う上で特に検討したほうが良いと思われる補償について、挙げてみます。

(1)対人賠償・対物賠償

相手の死亡やケガに対する補償を対人賠償と言います。自賠責保険で賄えない分をカバーします。相手の車の破損など被害者の財産に対する補償を対物賠償と言います。対人賠償や対物賠償は、基本補償として組まれます。補償額は上限額を決めるか、無制限とするか等も選べます。

ただし、特に対人賠償については、死亡させたり重度の後遺障害を与えたりすると、相手の年収や年齢などによっては、億単位の賠償額になることもあるため、無制限にしておいたほうが良いでしょう。軽貨物事業においては、発注者が対人無制限の保険加入を業務委託の条件としてくる場合もあります。

(2)人身傷害

運転者自身のケガや同乗者(搭乗者という場合もあります)のケガに対する補償です。保険会社によって、運転者だけまたは搭乗者だけ対象という特約もあります。保険金額の上限内で、実際の損害額が支払われます。
個人事業主のドライバーの場合、労災保険に加入していない方も多いと思われます(労災保険については後述)ので、万一の時に備えておいた方が良いでしょう。

(3)車両保険

衝突、接触等の事故で車に生じた損害に対して補償するものです。
毎日長時間運転をする軽貨物ドライバーの場合、運転に自信があったとしても、絶対に事故を起こさないとは言えません。軽自動車でも、板金修理などが入れば数十万円の修理費になることもありますので、修理費が不安な方は保証を付けておいた方が良いでしょう。

ただし、車両保険を付けるか付けないかで月々の保険料も変わります。保険を使って直しても等級がダウンして将来の保険料が上がることにもなりますし、あまりにも修理費が高額なら廃車にして買い替えるという選択肢もあるため、補償内容と保険料のバランスはよく検討したほうが良いでしょう。

(4)ロードサービス補償

事故や故障などにより走行不能となった場合に、修理工場等までのレッカー搬送に必要な費用(車両搬送費用)を補償します。バッテリーの点検、ジャンピング、インロック時のカギ開け、スペアタイヤ交換等などの応急対応サービスが含まれる場合もあります。

毎日長時間の使用で車の様々な部品が消耗しているので、急に故障することは十分考えられます。業務中に故障した場合は速やかに修理の段取りができないと、その後の業務に支障を及ぼしますので、ロードサービスが受けられるように備えておくことは、業務続行上重要度は高いものと思われます。

(5)弁護士費用特約

相手方に損害賠償請求をする場合の弁護士費用、対人事故における刑事事件等の対応を行う場合の弁護士費用、法律相談費用を補償するものです。
保険会社は示談交渉を行うことができません。こちら側に非がない「もらい事故」の場合、加害者となる相手方の保険会社が慰謝料などの損害賠償金を算出して示談案を提示してきますが、低く抑えられている場合があります。弁護士に依頼すれば専門的知識をもって交渉できます。

日々の業務で忙しい軽貨物ドライバーの場合、示談交渉に時間と労力を割くことは難しいと思いますので、その意味でも弁護士に任せることは有効と言えます。

4.貨物保険 預かった荷物の万一に備える

輸送中や保管中における貨物の破損や紛失、盗難等による損害をカバーする保険です。軽貨物事業においては、発注者が貨物保険への加入を業務委託の条件としてくる場合もあります。

5.労災保険 個人事業主でも特別加入制度あり

労災保険というと、雇用されている労働者が加入するものであり、個人事業主は加入できない、と思われる方もいるかもしれません。しかし、一人親方労災保険と呼ばれるような、従業員を雇用していない個人事業主が加入できる労災保険があります。ケガや病気の治療に必要な給付が受けられる療養補償。療養のために仕事を休み、収入を得ていない場合に給付を受けられる休業補償などがあります。

軽貨物を対象とした特別加入団体を通じて加入できます。詳細は都道府県労働局や労働基準監督署に問い合わせてください。
参照:厚生労働省ホームページ 労災保険の特別加入

6.まとめ

軽貨物の場合、業務の受注時に、依頼主が保険の加入状況を確認してくる場合があります。自賠責への加入は当然ですが、任意保険についても例えば対人無制限を業務委託の条件とされる場合もあります。貨物保険の加入が必須である場合もあります。
何より、個人事業主として営む場合は、ドライバー本人の体は代わりがいないのはもちろん、車も予め複数台所有している場合でもない限り簡単には代えられません。

心身の不調がないよう体調管理に気を付け、事故や故障がないように車のメンテナンスもしっかり行うことが第一ですが、様々な事態に備えて保険をかけておくことも、安定して業務を続けていく支えとなります。ご自身の受託している業務内容や収入との関係の中で、必要の程度、費用対効果などをよく検討して、適切な保険を選択するようにしましょう。

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