軽貨物2025年4月から規制強化! 始めるなら今!? 規制のメリット・デメリットとは??

国交省の周知用ポスター
こんにちは、ロジネクトです。
2025年4月から、軽貨物の安全対策(規制)が強化されます。
軽貨物の独立開業をするか迷っている方は、規制強化される前の今のうちに開業したほうがスムーズに開業できます。今回は、開業時の規制強化について詳しく説明します。また、規制が軽貨物事業者にもたらすメリット・デメリットについても考えてみたいと思います。
1.2025年4月から始まる安全対策(規制)
今回の安全対策(規制)強化は、貨物自動車運送事業の法令改正によるものです。
2025年4月以降、開業時に義務化されるのは主に以下の3点です。
(1)貨物軽自動車安全管理者の選任・届出
新たに軽貨物事業を行う場合は、軽貨物事業を行う営業所ごとに1名「貨物軽自動車安全運転管理者」を選任して、運輸支局等に届出をしなければいけません。
個人事業主であっても必要なので、ひとりで事業を行う場合は、ご自身で安全運転管理者になることになります。
選任者の業務内容としては、休憩・睡眠施設の管理、乗務割の作成、酒気帯び運転者を業務従事させないこと等々、適正な業務実施のための対応が諸々求められています。
(2)貨物軽自動車安全管理者講習の受講
貨物軽自動車安全運転管理者になるためには、5時間の講習を修了しなければなりません。
内容としては、①自動車運送事業、道路交通等に関する法令、②運行管理の業務に関すること、③自動車事故防止に関することがあり、④修了試問及び補習が行われます。
(3)初任運転者等への指導及び適性診断の受診
過去に一度も特別な指導を受けていない者は、①関係法令に基づき運転者が遵守すべき事項、②安全確保のために必要な運転に関する事項について計5時間以上の指導を受けること、そして③安全運転の実技指導(添乗指導)を受ける必要があります。
こちらは、ドライバー個々に必要になるもので、未経験者は必須のものとなります。
なお、乗務前3年以内に貨物軽自動車安全運転管理者講習を受講した場合は、特別な指導を受けたものとみなすことができるので、(2)を受講して開業する場合は、(3)はパスできます。
開業後の継続的な安全対策(規制)
このほか開業後においても、「業務の記録作成と保存」、「事故の記録」、「運輸支局等への事故報告」などの義務付けも開始されますが、まずは開業に際して今までになかった上記①~③が義務化されるというのは、大きな変更点です。
その他安全対策(規制)の詳細は、国土交通省が発表した以下の資料を参照してください。
▼国交省資料 貨物軽自動車運送事業における安全規制について~令和6年に改正された新たな安全規制~
https://wwwtb.mlit.go.jp/shikoku/content/000338303.pdf
2.なぜ法令改正されたのか?
なぜ、このような法改正がされたか。簡単にいうと、ネット通販の拡大などを背景にして軽貨物事業者が増えた影響もあって、軽貨物の交通事故が特に増えており、軽貨物の安全対策を強化する必要があるということです。
より詳しい経緯については、過去3回のブログで国の調査、議論の経過を取り上げていますので、ご興味のある方は以下をご参照ください。
▼2023年6月29日 軽貨物|時間超過、荷主の問題…国が初の実態調査、これからどうなる?
▼2024年1月30日 軽貨物「安全管理者」義務化、一般貨物並みに規制強化へ
▼2024年8月29日 軽貨物|規制措置来年4月より義務化!どう対応する?
3.2025年3月までに開業すると何が違う?
3月までに開業する、ということであれば、従来通りの運輸支局等に「貨物軽自動車運送事業経営届出書」などの必要書類を届け出て、軽自動車検査協会にて黒ナンバーの発行を受ければスタートできます。
ただし、3月までに開業した方をはじめ、既存事業者(個人事業主含みます)も、2027年3月までに貨物軽自動車安全運転管理責任者の選任が必要です。また、初任運転者への指導も2028年3月までに完了させる必要があります。
また、貨物軽自動車安全運転管理者の選任者については、選任後2年ごとに2時間の定期講習が必要となります。
これまでは、普通運転免許を持っていて、業務に使える車両さえあれば、運輸支局と軽自動車検査協会を回って書類提出するだけで開始できました。手続きに要する時間は一日、スムーズにいけば半日で手続き完了するくらい簡単なものでした。それが最低でも講習に5時間は必要になります。さらに業務開始後も、安全運転管理者としての業務内容も加わってくるので、日々の管理業務の工数が増えます。
ですので、軽貨物での独立開業をするか迷っている方は、始めるなら規制が始まる前に開始したほうが、当面の手間は大きく変わってきます(もちろん2027年3月までの猶予期間が過ぎれば同じことになりますが)。車両の調達とか、様々な事情があるとは思いますが、可能であれば今のうちに開業したほうが、負担は少ないことは確かです。
4.規制は面倒かもしれないが…どうせやるならいかに活用するか?
ここまで、今回の安全対策(規制)の強化について、主に開業時の負担という面からご説明してきました。しかし、もう少し俯瞰してみたときに、ネガティブな考え方ばかりにとらわれないほうが良い、という点も申し上げておきたいと思います。
たしかに講習や指導、業務記録、事故報告など様々なことが義務化されて、事業者の負担は増えることになります。特に零細事業者や個人事業主の場合、経営者自らがドライバーとして現場で走る場合が多く、事務作業に時間を割くことは簡単ではありません。現場に出る時間が減れば売上の減少にもつながり得るため、「面倒な規制ができた」とネガティブに考えてしまうことも理解できます。稼働時間の規制までかけられて、業界全体の人手不足に拍車がかかり、必要な荷物が届かなくなるという運送業界全体の問題につながる懸念もあります。
まじめに業務に取り組んでいる事業者に対して、行政には過度な負担にならないような制度運用を考えてもらいたいですし、中小零細の軽貨物事業者に業務を発注している荷主様、大手運送会社様などにおかれましても、私たちの管理工数が増えることに対して、委託料金の増額や業務内容の効率化、負担軽減へのご理解とご協力などをお願いしたいところです。
ただ、別の見方をするならば、これまで何の講習の義務もなかったこと自体が他の業種・職種と比べれば不思議と言ってもいいかもしれません。軽貨物は、時には貴重品や代わりのきかない大切な荷物を扱うこともある、決して小さくない責任を負う仕事です。安全運転管理者講習も5時間を要するとはいえ、他の業種・職種と比べると研修時間としてはまだまだ短い方と言えるでしょう。開業後の継続的な安全対策(規制)についても、やること色々ありますが、もっと厳しい規制をかけられている業種・職種もあります。安全運転管理者の定期講習にしても、2年間に一度、2時間です。こうした講習すら受けることを厭う事業者には退場していただいたほうが、業界全体の品質を上げていくことにつながるかもしれません。
規制に伴い事務作業の負担が増加するのは避けられません。であるなら、どうせやる以上は諸々の安全対策にポジティブな意義を見出して活用していく、というスタンスが望ましいでしょう。安全対策に取り組むことで事故を減らせればそれに越したことないわけです。
また、事故が起きてしまったときに、何も対策をとっていなかったり、きちんと事故報告をあげていなかったりしたら、責任を問われることになります。適切な対策は、万一の時に自らを守ることにつながるのです。
5.まとめ
軽貨物の安全対策(規制)が開始される今年は、長年の間拡大傾向にあった軽貨物業界の歴史が変わる転換点になるかもしれません。新規参入するなら規制開始の前の方がハードルは低いですので、開業を考えている方は今がチャンスです。そして、規制が始まった後は、単に面倒なものとだけ考えず、守るべきは守り、活用できるところは上手に活用していくことが、軽貨物事業の成功につながっていくでしょう。
* * *
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また、全国規模の軽貨物事業フランチャイズグループに加盟しており、幅広いネットワークのなかで情報交換する中から、円滑で高品質なサービスご提供のための様々なノウハウを蓄積しております。
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